解熱・鎮痛剤の特徴と選び方を簡単に解説してみた

クスリには多かれ少なかれ副作用があります。使用の際は必ず用法・容量を守って上手にお付き合い下さい。

解熱鎮痛薬のお世話になっている方って結構多いのではないでしょうか。
代表的な常備薬の一つという存在ですよね。解熱鎮痛薬はクスリのチカラで熱を下げたり、痛みを緩和したりしますがその原因を治すものではありません。熱や痛みは「体を休ませなさい」と脳に危険を知らせるための信号です。その信号を止めているだけですので病気の根本治療も同時に心がけましょう。

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【市販薬に使われる代表的な解熱鎮痛成分】

代表的なものを書き出すとこんな感じです。

・イブプロフェン
・アセトアミノフェン
・アセチルサリチル酸(別名:アスピリン)
・エテンザミド
・イソプロピルアンチピリン

他に、市販品ではあるけれど、当方の資格では取り扱えないロキソプロフェン、つまりロキソニンがあります。

この中で子供(15歳未満)にも使えるのは、アセトアミノフェンだけです。医療用のではカロナールが同成分のもので有名です。 市販薬は他の成分と合わさって製品化されているものが多いので、アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛成分が加わった製品になると15歳以上の制限がつきます。アセトアミノフェンだけの単味製剤も市販にはいくつかあります。

店頭ではしばしば、「頭痛はないので熱さましだけ下さい」的な要望をされる方がいますが解熱鎮痛成分はどれも解熱作用と同時に鎮痛作用を併せ持っているので、「解熱だけ」とかはありません。

【胃への負担】


〝解熱鎮痛薬は胃への負担が大きい”というのは良く知られているところだと思います。医者にかかって解熱鎮痛薬が処方されるときは、たいてい胃を保護するための薬も同時に出されると思います。

その理由はこうです。解熱鎮痛薬にはほぼ共通して言えることで、痛みを伝えるため体内で生産されるプロスタグランジンという生成物を作らせなくさせることで痛みをブロックします。ただし、このプロスタグランジンは悪者ではありません。痛みを伝え、危険を知らせる事もそうですが、胃粘膜を保護させる粘液を出させたり、細胞の修復を促したり、はたまた女性においては胎盤をふかふかのベッドのように維持するために働いたりと色々な働きを担うものです。そのため痛みを止めるためとはいえ解熱鎮痛薬を飲むと、他の働きまで弱めてしまう事も知っておいた方がよいでしょう。胃についていえば胃を保護するための粘液が出にくくなるその結果、胃液が自分自身の胃粘膜を傷つける、となってしまうのです。その対策として胃腸薬を飲むのです。胃腸薬がないときは、せめてコップ一杯の水を飲むだけでも胃の保護になりますので是非実践してください。

【成分の働き・特徴】※あくまで市販薬の範疇での比較です。

それでは各成分の特徴を簡単にみていきます。

・イブプロフェン
 比較的安全性も高く熱も痛みもどちらにもよく効きます。生理痛、歯が痛いなどにおすすめです。イブプロフェンは同種類の系統の薬剤の中では比較的胃にも優しいとされていますが胃腸障害のある方はアセトアミノフェンを使ったほうが良いでしょう。抗炎症作用が強いので〝腫れ”が痛みの原因になっている場合も高い効果を期待できます。例えば歯の痛み。歯が痛いときズキン、ズキンと脈動に合わせて痛かったりしませんか?それは歯神経周りの組織が何らかの理由で炎症を起こして腫れ、神経を圧迫しているのが原因と考えられます。炎症を抑えれば腫れが引き、痛みが消えます。喉の痛みも同様に腫れを伴っている場合に良く効きます。そんな理由で抗炎症作用の強い鎮痛剤は喉や歯の痛みにも良くききます。ロキソニンが手に入らないときは、同系列のイブプロフェンで配合量の多いものを選ぶとよいでしょう。喘息がある方はイブプロフェンとアスピリンは避けましょう。

製品の一例:イブ

・アセトアミノフェン
 医療用のカロナールと成分自体は同じです。子供に使える解熱鎮痛薬です。頭痛という面では有効ですが、抗消炎効果はほとんどないとされていますので、腫れた痛みの時は他を選んだほうがよさそうです。ただし胃への負担がほとんどないため胃が弱い人、空腹時にも飲めるというメリットがあります。有名なバファリンは大人用と子供用で成分が違い、子供用だとアセトアミノフェンになります。
よく似た名前の物質でアセトアルデヒドという名前を聞いたことがありませんか?これはお酒を飲んだときに生成され二日酔いの原因になったりすることで知られている生成物です。アセトアミノフェンと名前が似ているように、構造が似ているのでお酒に強い人はアセトアミノフェンの分解も得意なようです。ほとんどのクスリは肝臓などで時間をかけて分解される事で効果を失っていきます。1日3回飲む薬は、それくらいの間隔で分解が進むということです。つまり分解が早すぎると効果を発揮しにくいのです。別の言い方をすると、お酒が好きな人も注意が必要です。お酒とアセトアミノフェンを同時に飲むとお酒の分解に肝臓の能力が使われてしまい、アセトアミノフェンを処理できず中毒になってしまう可能性があります。解熱鎮痛薬全般にいえる事ですがアルコールが胃壁を荒らすので使用時の飲酒は避けてください。

製品の一例:タイレノール

・アスピリン
 アセチルサリチル酸とも言います。消炎鎮痛薬でもっとも消費量の多い代表的な成分です。アスピリンという呼び方は元々はバイエル社の商標だったものが後に成分名としても使われるようになったもので、呼び方が違いますが同じ成分です。エテンザミドも同じ系列の成分です。アスピリンは他の解熱鎮痛成分に比べて胃腸障害が起こりやすいとされていますので〇〇マグネシウムとか、〇〇アルミニウムとか胃粘膜を保護する成分が一緒に配合されたりしています。有名なバファリンのキャッチコピーで「バファリンの半分は優しさでできています」というのがありましたが、バファリンはアスピリンと保護成分が一緒に入っているのでうまい言い方だなと思います。
アスピリンは解熱鎮痛作用以外にも血液を凝固しにくくさせる作用がありますので、その目的で使われることもあり、逆にそれが仇となって使うのをやめたほうがいい場合もあります。血管が詰まる病気を患っている方が同様のクスリを飲んでいる場合があり、作用が重複する可能性があるので注意が必要です。また出産を控えている女性の場合、お産の時の出血が止まりにくくなる恐れがありますので出産予定日の12週間以内に入ったら使うのを避けます。
重篤なものではインフルエンザの時にはインフルエンザ脳症の発症が懸念されるためアスピリンを使ってはならないとされ、小児においてもライ症候群との関連を疑われています。どちらも死亡にまで発展する怖い病気です。インフルエンザに罹ったかもしれないと思うときは使用をさけたほうが無難ですね。

製品の一例:バファリン

・エテンザミド
 アスピリンと同じサリチル酸系列の解熱鎮痛成分でありながら、他の成分とくらべ痛みの伝わりを抑える働きが優位とされています。そのため作用の違う解熱鎮痛成分と組み合わせて配合される事が多く、アセトアミノフェンやイブプロフェンと一緒に配合された市販薬があります。

製品の一例:ナロンエース

・イソプロピルアンチピリン
 鎮痛効果は高いが抗炎症作用は弱いとされています。特に頭痛には良く効く薬剤とされています。ピリン系と言われる薬剤で、ひと昔前はいくつかのピリン系薬剤が市販薬にあったようですが、今ではピリン系の解熱鎮痛薬はこの成分のものしかありません。ピリン系に対しアレルギーを持っている人がおり、比較的ピリンアレルギーを起こしにくいイソプロピルアンチピリンだけが現在の市販薬に残ったようです。

・カフェイン、無水カフェイン、ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素
 メインとなる解熱鎮痛成分の補助的役割として配合されています。カフェインは頭をスッキリさせ倦怠感や疲労感を和らげます。古い文献では解熱鎮痛薬による眠気の防止のために配合されているとの記載を見ることがありますが、現在では薬剤による眠気には効果が無いことが分かっているようです。〇〇尿素というのは痛みを感じる脳をぼやっとさせて痛みを感じにくくさせる作用を狙って配合されています。これが入っているクスリは眠くなりやすいので注意が必要です。

【こんな時は病院へ】

・発熱が1週間以上続いている→感染症の可能性
・発熱+激しい腹痛、下痢がある→感染症の可能性
・一般用医薬品を使ったが効かない→自己治療できる範囲を超えている
・今まで経験したことのないような激しい頭痛→くも膜下出血などの疑いも。急いで病院へ。

まとめ

個別な事情を除けば一般的にこんな感じでおススメしています。

  • 子供から使えて胃にもやさしく使いやすいのはアセトアミノフェン。その分作用は弱めな感じ。
  • 痛み熱ともに良く効くのはイブプロフェン。
  • 頭痛が酷いならイソプロピルアンチピリン。ただしピリンアレルギーの無い人に限る。
  • アスピリン(アセチルサリチル酸)はインフルがはやっている時は避けるのが無難。
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